プロジェクトストーリー
都心に生まれた新時代のランドマーク。
新時代のランドマーク。
その“快適”を実現する。
麻布台ヒルズ地域冷暖房プロジェクトPROJECT / AZABUDAI HILLS
2023年11月、東京都港区に「麻布台ヒルズ」が開業しました。広大な敷地にオフィスや住宅、商業施設、インターナショナルスクール、文化施設などが集合する、日本の新たなランドマーク。この地下5階で、パナソニック製の吸収式冷温水器が稼働しています。それは麻布台ヒルズ一帯に冷暖房や給湯を行うために、冷水・温水などの冷媒を供給する大型機器。その納入を手掛けたのが、営業担当のK.Mを中心としたパナソニック産機システムズ(PCES)の社員たちでした。
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営業職
K.M / 2018年中途入社 -
企画職
K.I / 2022年中途入社 -
サービス職
K.N / 2021年新卒入社 -
サービス職
S.M / 2019年新卒入社
超大型プロジェクト、始動。
「麻布台ヒルズのプロジェクトを一緒にやりませんか?日本中が注目する施設。絶対に失敗はできない。だからこそ、K.Mさんに任せたい」。空調設備の施工を担当するサブコンからそう声を掛けられたのは、2020年のことだった。そのサブコンとは、以前担当していた虎ノ門再開発プロジェクトでも協業した、いわば戦友である。「虎ノ門再開発プロジェクトは、私が入社して初めて担当したプロジェクトでした。知識が足りない分、コミュニケーションだけは疎かにしないようにと、細やかな対応をしたことで信頼を築けたのだと思います。今回、指名のようなかたちでアサインをいただきました」。入社から2年間で蓄積したノウハウがどこまで通用するのかを試してみたい。そして何よりも、日本のランドマークとなる施設を手掛けてみたい。そんなチャレンジ精神を持ってK.Mは「一緒に成功させましょう!」と力強く返事をした。
多くの場合、吸収式冷温水器は建物一棟に熱媒を供給する製品である。しかし、今回は地域冷暖房と呼ばれる、麻布台ヒルズのエリア全体に熱媒を供給する役割を担っている。PCESの中でも、最大級の製品になる。まずK.Mが取り掛かったのは、施設の設計図面をもとに製品の仕様書を作ることだった。「製品はこれをもとに生産されるので、仕様書の出来がプロジェクト成功を決めると言っても過言ではありません。今回は熱媒が供給される範囲が広大で、求められるスペックも、技術レベルも高い。さらに納入前の検査項目や稼働後の制御に関することなども決めなければならず、これまでの知識を総動員して臨みました」。K.Mは、必要なスペックなどをすべて洗い出してリスト化。既存の仕様で対応できるのか、できなければどうすれば解決できるのかを、技術部門と探っていった。結果的に仕様書は、通常のプロジェクトよりも遥かに多い、140ページほどのボリュームに。しかし、そうして出来上がった仕様書をサブコンなどの関係各所に確認してもらうと、改善提案や追加要求などが戻ってくる。仕様書に記された大量の要望を再びリスト化し、技術部門と膝を突き合わせて、仕様を再検討していく。ブラッシュアップを重ね、仕様書が完成するまで1年もの期間を要した。
チームPCESで、挑む。
ようやく出来上がった仕様書をもとに、工場での製品の生産がはじまる。工場との調整を担当したのは、企画部門のK.Iだ。「超大型の機器を作る場合、その分たくさんの生産ラインを確保する必要があります。でも、他の案件の生産を遅らせるわけにはいきません。しかも早く完成させてしまうと、保管場所にも困ります。工場全体の生産量を極力落とさずに、いかに効率良く作れるか。納入までの無駄のないスケジューリングを描くことが鍵でした」。しかし、麻布台ヒルズのような大規模な新築プロジェクトは、一筋縄ではいかない。工事現場の進捗は時々刻々と変化し、それを受けて設備の納入予定日の変更が何度も起こる。K.Iは少しでも動きがあればすぐに対応できるように、K.Mから現場の状況を逐一聞き出すようにした。そして、それに合わせて生産スケジュールを変更。その度に工場との調整に奔走した。「最終的に納入予定日は3ヶ月以上後ろ倒しに。でも、K.Mさんと密に連絡を取り合えたのが功を奏しました。納期が伸びる気配をいち早く察知して工場と連携できたので、大きなトラブルなく機器の完成にこぎつけられました」。
残すは現場への搬入のみ。しかし、ここにも難所があった。吸収式冷温水器は現場に運んだ後、マシンハッチと呼ばれる搬入口から機械室のある地下5階まで降ろすが、巨大であるがためにそのままではマシンハッチを通らない。機器をバラバラに分割し、さらに斜めに吊るしてクレーンで降ろす必要があった。会社としてもあまり前例がない。もちろん、K.Mにとっては初めての経験だった。少しでもバランスを崩せば、事故に繋がりかねない。K.Mはサブコンや協力会社と何度も打ち合わせを重ね、搬入方法を検証していく。吊るす角度やワイヤーを括る位置など、シビアな判断が求められる事項はたくさんあった。心が折れそうになることもあったが、K.Mはある言葉を思い出していた。「あるときサブコンの担当者から『信頼していますよ』と言っていただいたことがありました。私を、そしてPCESを信頼して依頼されている。その期待に応えたいという一心でした」。搬入当日。現場の指揮は、サービス部門のS.MとK.Nに任された。「みんなの想いが詰まったこの製品を、無事に機械室に納めることが私たちの使命です。万が一にも事故を起こすわけにもいきませんし、何かトラブルがあると、開業が遅れることだってあり得る。実際に搬入をする職人さんたちとしっかりと作業内容を確認し、搬入を進めていきました」。たくさんの人の期待を背負い、クレーンに吊るされた部品がマシンハッチをゆっくりと通っていく。ピンと張られたワイヤーを、固唾を飲んで見つめるS.MとK.N。すべては計画通り。地下5階まで降ろされた部品は、職人たちの手で一つの製品に組み上げられていく。そして作業開始から丸二日、すべて搬入が完了した。その報告を電話で受けたK.Mの表情は、晴れやかだった。
日本、そして世界に
“快適”を。
2023年冬。K.Mは多くの人たちで賑わう麻布台ヒルズを訪れていた。外の厳しい寒さとは打って変わって、建物内は快適そのもの。世界的なデザイナーが手がけた近未来的な内装、人々の楽しげな声。「ここが日本の新しいランドマークになるんだ」。その一翼を担えたことを、K.Mは誇りに思った。麻布台ヒルズは多くのメディアに取り上げられたが、社内にも大きなインパクトを与えた。海外進出を計画しているチームをはじめ、様々な部署から視察の相談が来た。「本プロジェクトのような大規模なものを最後までやり遂げられたことは、大きな自信に繋がりました。今回一緒になったサブコンからは次のプロジェクトでもお声がけをいただいています。今後も大規模プロジェクトにチャレンジして、吸収式冷温水器のスペシャリストを目指したい。そして、後進の育成にも力を入れて、PCESの技術をもっと広めていきたいですね」。多くの人々が行き交う建物に、空調機器によって“快適さ”という命を吹き込む。パナソニック産機システムズの仕事は、これからも日本、そして世界の暮らしを支えていく。